ところで『若草物語』で父親の存在が薄いのは原作者ルイーザの意図的な手法だと言います。
女史は自由な女性を描きたかったのですが、当時の社会はそれを拒否していました。
そのため社会に譲歩して四姉妹を家庭=内にとどめる代わりに、
父親を物語からはるか遠くに置いたと筆者は指摘しています。
自由な女性を書きたかったと言う筆者(田中氏)の主張ですが
『第四若草物語』のナン(アニー・ハーディングズ)が女医として
自立していることを言及すれば、さらに説得力を増した思います。
『若草物語』だけではなく、『赤毛のアン』、『人魚の姫』や『モモ』など
古典から現代の児童文学を扱っています。
まだ自分が読んでいない本のことも興味がわくように書かれているので
読書のガイドブックにもなっています。