ナポレオン、タレイラン、フーシェそれぞれが、それぞれの心の中にあるもの(これを鹿島氏は「情念」と名付けています)の命ずるままに、あるときは協同し、ある時は敵対する様は、ダイナミックな政争劇の趣き。そう、この三人の心理面からこの時代を解剖した本って、ありそうでなかった…から、まずはこの目のつけどころに脱帽です。内容的にも、かなり分かりやすく書かれています。
もっとも、この時代とナポレオンを中心とした多数の登場人物の最低限のプロフィールを押さえておけば、もっと楽しめます。ナポレオンとか、ロベスピエールくらいなら、世界史の授業で習った記憶があっても、カルノーだの、コランクールだのって…普通に日本で暮らしていると馴染みがない(笑)
それとこの手の本って、地図が挿入されているとわかりやすいんだけど、その点ではちょっと不満です。必ず地図帳を用意してから読みましょう…ま、この本を手にする人なら、ある程度の基礎知識がある、という前提なのかもしれないけど…。「ワーテルローの戦い」についての地図も、わかりやすくして欲しかったな~~と思いました。大掴みにはわかるんだけど、戦闘の経過がわかりづらかった…(涙)
でも、本の内容は面白かったので、☆ひとつマイナスの四つです。