アンディ・スニッツァーはローリング・ストーンズやポール・サイモンのツアー・メンバーでもあり、おもにポップ～ロック・シーンで活動してきたサックス奏者。ジャズ・ファンに知られるようになったのは、2000年にデヴィッド・マシューズ率いるマンハッタン・ジャズ・クインテットに参加してから（『ティーン・タウン』が初参加作品）。
   これまで3枚のリーダー作を発表しているが、それらは自作を中心にしたフュージョン寄りの内容だった。それに対して本作は、マシューズの全面的な協力を得て録音した初の本格的ジャズ・アルバムで、全編ワン・ホーン・カルテットによるストレート・アヘッドな演奏。タイトル曲はスタンリー・タレンタインのヒット曲だし、ソニー・ロリンズの名作『Saxophone Colossus』から3曲、さらにジョン・コルトレーンの演奏で知られる<5>なども取り上げていて、まさにファン好みの選曲。しかも演奏がこれまたすばらしい。変化球なし、直球でグイグイと押してくる正攻法の演奏が快感だ。（市川正二）