知ってるのは最初だけ?
★★★★☆
40番と言うより最初のメロディーは誰でも知っている事でしょう、貧困と愛する妻の浪費癖に悩まされながらも階級社会に生きるモーツァルトにとって日々懸命に生きる苦悩と覚悟をこの曲の前後の39番・41番を聞くことによってより理解出来るのです、前後をあわせて3曲をわずかな月日で仕上げた事こそ、その自分の人生をどう生きるかの覚悟を示すための明確な意志を示すためのものだったのだと。そこにはあのアマデウスにあるような享楽的な彼の人間像ではなく、神童ともてはやされながらも湧き上がる音楽の啓示に常に切なる思いで取り組んできた彼の人生観が現れていると私は思っています。 40番は苦悩の中にある力強さを、41番は前に進もうとする堂々とした意志をあらわしています。 ドーバー版はねぇと言われる方もいらっしゃるかもしれませんがその価値は価格以上のものです、音源としてCDをあわせてお求めになられると良いでしょう、私はエマニュエル・クリヴィヌ指揮がお勧めです。 3曲をあわせてお聞きになるとモーツァルトの新しい人間像が見えてくる事でしょう。