「ねぇねぇ、知ってる? 図書館のうわさ」
「え、何それ?」
「それがさ、どんな願いも叶う本があるんだって」
「うそー、すごいじゃん。じゃあさ、それ探しに行こうよ」
「あ、でもね、このうわさには続きがあって――」
路上アーティストの石巻あおばは、同じく両親のいない福田麻智と共に、仙石町にある養護施設で毎日を過ごしていた。
何をするにも仲の良い二人の夢は、あおばの歌と麻智のピアノで一緒に演奏をすることだった。
ところがある日、麻智が学園の階段から転落し、両手に後遺症の残るほど大怪我を負ってしまう。
親友の怪我とともに夢を失い悲しみに暮れるあおばは、なんでも願いの叶う本を図書館から探し出し、
麻智が怪我をする前の時間へと旅立とうと、怪しげな儀式を敢行する。
しかし、真っ白な光に包まれたあおばは、自分が生まれる前の時間まで戻されてしまうのだった……。
ある日麻智は、カエラと名乗る少女に出会う。
「この本、意外と本物かもよ? 借りたい?」
手渡された願いの叶う本。
麻智は、記憶の片隅にしか残っていない母親にもう一度会いたいという願いから、
本を使って過去の世界へと旅立つ。
幼い頃に、忙しい父親に代わって自分の面倒を看てくれた高砂祥太郎。
ある日突然いなくなってしまった彼に会うため、今度は逢瑠が過去へと旅立っていく。
『施設建設にまつわる策略』、『母の死』、『高砂が求めていたもの』
逢瑠が見た知られざる真実とは――
「……消えてしまうわ。全てが――」
世界の構築
時間を遡った罰
審判の日
人々に新しい世界を生きる資格があるのか。
世界消失まで、時間はあとわずか。
世界の命運を賭け、物語は加速する―