細かく史実に忠実な学研まんが
★★★★☆
学習まんが系としては、他に集英社で出している西郷隆盛の学習漫画がありますので、それとの比較で述べたいと思います。絵柄は正直、言って失礼ですが、集英社のものと比べてつたないです。そのかわり、漫画的な大げさな表現は抑えられ、史実に忠実に追っていこうとする姿勢があります。
また、かなり細かなエピソードが加えられています。例えば、けんかで相手方の刀の鞘が破れて右腕に重症を負ったこと、郡奉行(こおりぶぎょう)の迫田太次右衛門(さこだたじえもん)より、「敬天愛人」の言葉を教わったこと、斉彬派の有馬一郎から世界情勢について勉強したこと、江戸城明け渡しの儀式で柱にもたれて眠ってしまったこと、天皇陛下とともに習志野市に行軍に行った際、雨の中、陛下のテントの前で寝ずの番をしたこと、などなどです。
小難しい伝記を読むより、はるかに短い時間で西郷隆盛のことを知ることができると言えるでしょう。漫画的なドラマティックな表現はありませんが、西郷隆盛の人生自体が壮大なドラマなので問題ありません。子供はもちろん、大人も目を通しておいて損はない内容だと思います。