毎日、米国の成人の4分の1がファストフード店を利用し、2000年のファストフード消費は1100億ドルを超えた。シュローサーは、保護貿易論と父権的干渉主義、それに利益主義とが奇妙に混ざり合うフランチャイズ契約を巧みに検証しながら、牛肉に含まれる異物をつぶさに調べていく。さらには、牛肉が大腸菌などの危険な病原菌に感染しやすい状態にあること、1時間に600頭近くの牛が屠殺されていること(このアメリカの食肉処理場の標準値は、ヨーロッパの屠殺場のほぼ6倍にのぼる)を暴き、栄養、環境、文化といった観点から投げかけられる深刻な問題を掘り下げている。調査報告と文化史とをまとめた草分け的な本書『Fast Food Nation』(邦題『ファストフードが世界を食いつくす』)は、アメリカ人の食に対する考え方を大きく変える本だ。
フォックスサーチライト配給の映画『Fast Food Nation』が、2006年11月17日から公開される予定。おもな出演は、イーサン・ホーク、アヴリル・ラヴィーン、パトリシア・アークエット、グレッグ・キニア。