藤圭子、再発見
★★★★★
藤圭子が出てきた昭和45年は、万博の年でまだ高度経済成長真っ只中で、そんな希望に満ちた時代に、こども心に若いのに非常に暗い歌を歌う人だなあと思っていた。恨み節というやつだが、小さい体からふりしぼるように歌う姿は、他の歌手にない凄味を感じた。当時「女は恋に生きてゆく」のシングル盤を親に買ってもらったのだが、今思うと、何故だか良く思い出せない。彼女としては、比較的リズミカルな曲だったので、気にいったのかもしれない。この後、ほどなくアイドル全盛時代となり、彼女の存在は、徐々に表舞台から消えていくのだが、ここに聴ける曲の数々は今聴いても色あせていない。特に最初の2曲は、特にそう思う。このCDのライナーには、RCA在籍時のシングルとアルバムのディスコグラフィーが掲載されており、ファンには重宝だと思う。
あれは誰だ
★★★☆☆
あれは誰だ 誰だ 誰だ
あれはデビル デビルマン デビルマン
裏切り者の名を受けて すべてを捨てて闘う男
デビルアローは超音波 デビルイヤーは地獄耳
デビルウイングは空を飛び 圭子の夢は夜ひらく
悪魔の力身につけた正義のヒーロー
デビルマン デビルマン
ぼくの夢は再びひらく
★★★★★
全国のくたびれた50歳代のおじさんたちへ
働き盛りで仕事が面白い50歳代
子どもが宇多田ヒカルと同世代
覚えているかい? 高校んとき、歌番に初めて出演した藤圭子のこと
明るく華やかなステージの中で、ひとり極端に場違いに暗かったこと
作家五木寛之が 「本当の演歌」の星 と絶賛していたこと
同級の女の子が
「若いのにずいぶん退廃的な歌を歌うのね」って非難してたっけ
でも、退廃的で暗い歌が すごくカッコよかったんだ
50歳代に突入してくたびれてきたけれど
再び藤圭子の歌声を聴くと
こんどはカッコいいって思うだけでなく
「かわいい」って思うし、なにより元気が出てくるんだ
また恋をしたくなるし、そんときは不倫になるわけだから
藤圭子の歌っていよいよ身近になるんだよね