しかし、「今日の流行」は「明日の陳腐」でしかない。ジョエル・カドベリー、ブレット・ショウ、ジェイミー・マクドナルドのロンドンっ子3人組は、前作のテクノ志向のサウンドを捨て、アッシュやマニック・ストリート・プリーチャーズのプロデューサーであるデイヴ・エリンガの手を借り、明らかにオーガニックな方向を目指している。それでも野心の大きさはあいかわらずだ。
壮大な「Colours in Waves」と「Same Old Story」では、ヴォーカルのカドベリーがかつてのボノを思わせる堂々とした熱唱でバンドをリード。ギターのマクドナルドとドラムのショウがカドベリーの語り口にメリハリのあるリズム感を与えている。また、ハープを伴った優しい「Nine Lives」と、ハープシコード、ストリング、バンジョー、ヴォーカルが美しく調和した「Loosen Your Hold」は、このアルバムに新古典主義的な性格をもたらした――肩ひじを張りすぎている部分があるのが難点ではあるが。
サウスならではの流麗なメロディー、華麗でドリーミーなサウンドスケープが、先行きの不透明な現代の不安感やほろ苦い諦観を描き出す歌詞と好対照を成し、お互いを際立たせる効果を生んでいる。まるで人生そのもののように泣かせるポップ・ミュージックだ。(Jerry McCulley, Amazon.com)