やさしいのは言葉遣いだけでは?
★☆☆☆☆
言葉遣いは、ジュニア向けにやさしく書いてあります。
しかしそれぞれの本の解釈は、論者たちが自分の頭で
考えて、中学生にわかるように語りかけたものとは言い難い。
特にニーチェの『ツァラトゥストラ』を論じたものなど、
流行りの構造主義的解釈を、粗雑に提示したものに
過ぎません。
右手対左手、男対女、上対下、・・そんな紋切り型の
構造分析が、いつまでも通用するわけがないでしょう。
そんなものを使わなければ説明できないのなら、
ジュニア向けの本を出すべきではありません。
西洋哲学の扉
★★★★★
哲学や、哲学的な思考に興味はあるけど、哲学者が書いた本は難しくて・・・という人におすすめしたい本。
本書は平易な言葉遣いで、哲学者10人の代表作の「主旨」と「読み方」に触れています。一人一作に絞ってあるので、焦点がブレなくていいです。
ジュニア向けにかなり噛み砕いて説明してありますが、集中してよ〜く読まないと難しい。分かったような、分からないような。ちなみに大人ですが。。。
本書で気になった人を探して、その人の入門本を読むといっそう理解が深まるでしょう。
中身がぎゅっと詰まっているから、手元においておきたい本です。
読書と再読のための案内書
★★★★★
『饗宴』(プラトン)、『ニコマコス倫理学』(アリストテレス)、『告白』(アウグスティヌス)、『方法序説』(デカルト)、『純粋理性批判』(カント)、『告白』(ルソー)、『ツァラトゥストラはこう言った』(ニーチェ)、『時間と自由』(ベルクソン)、『存在と時間』(ハイデガー)、『幸福論』(ラッセル)が取り上げられます。
『方法序説』は「わたしは考える……」という主観的なフレーズから始まります。しかし「精神でさえも体質と身体器官の状態に多分に依存し」(88頁)、人間たちを有能で賢明にする手段は医学の中にあるとします。デカルトにおいては主観的で主体的な哲学と客観的な科学は不可分なのです。これこそ『方法序説』が今日も読み継がれている要因だ、としています。
本書は読書案内書でありますが、新しい発見を指摘してくれる再読への案内書でもあります。