うーん、何か軽い、軽すぎる・・・
★★☆☆☆
なんか議論が軽すぎるような気が・・・。イギリスの話はおもしろいよ。イギリスは行ったこともないし、まったく知らないから、へーって感じかな。ただこの本の根底を流れる階級社会=絶対悪という考えがそもそもの間違いのような気がする。元来、階級社会というものはそれなりに機能していたと私は思う(近代以前まで)。問題は階級社会ではなく、表向き平等社会に見せかけて階級社会が見えなくなっていることだと思うのだが。というか、階級社会と階層社会をごっちゃにしているとこも、この本の問題かと。。。。あと戦前戦中の話はついていけなかった。
全体を通して林さんの方はまだいいのだが、斉藤さんのほうは言っていることにちょっと無理があるのではという箇所が多かったような気がする。まあ日本の問題点を浮き彫りにするのはいいことだから、こういう本も必要だとは思うし、半分ぐらいは同意することもあるので、まったく無意味とは思わないけど、これを読んで全部信じるんじゃなくて、この本を読んで自分で考えるということが必要なのではないだろうか。読むべき本というわけではないと思うけど、問題提起としては意味のある本でしょう。読みやすいしね。
ポスト団塊世代の限界
★★★☆☆
いい意味でも悪い意味でも、ポスト団塊世代(別名しらけ世代)の特徴が良く出ている作品です。団塊の世代ほどの、厚顔無恥なあつかましさとずるさは、ないにせよ、その否定という意味での、反面教師に考え方がとどまっている世代ですね。戦後民主主義の拘束と虚妄を連合赤軍事件で十分に知りながら、その示唆する論理的な到達点には、進む勇気もなく、ノスタルジックに民主主義なるものを最後の砦のようにしきりに持ち出す点もその特徴でしょう。というわけで私はもっぱら見たくもない自分の自画像を見るような感じがしました。しかし林さんは、相変わらず、イギリスを語る部分は、本当に生き生きとしていますね。本当にイギリスに魅せられたのですね。でも林さんの英国の実体験も1993年で止まっているわけで、その後のアメリカ化(新自由主義)まっしぐらの現在の英国についての深い作品を期待します。