リーマン予想-その数学的内容、人物、歴史
★★★★★
この本のテーマは「リーマン予想」という約150年間未解決の数学上の超難問である。一方、2000年に懸けられた100万ドルのミレニアム懸賞と、今年6月に解決された(?)、で「旬」なテーマでもある。しかしテーマにもかかわらず、この本は実に読みやすい本だ。著者がどう書けば読みやすい本になるかを完全に把握している。奇数章は数学、偶数章は人物と歴史、という構成も飽きさせない。数学は広い読者を対象に、数列や微積分の基礎から説明されているが、一方、各章、各節に何が書かれているかがつねに明らかにされている本なので、知っている人はどこまで飛ばせば良いかがすぐ判る。英語も実に明快だ(もちろん難しい単語は辞書で引くとして)。文系、理系を問わず、数学に何か心惹かれる人には必読の本であろう。リーマン予想からこんなにも幅広く豊かな数学が育まれてきたのか、と感銘を受ける。また、歴史を背景にした数学者群像も魅力だ。ところで本筋とは関係ないが「オブジェクト」を知っているコンピュータ技術者には、思わずニヤッとさせられるオマケが隠されている。