Multicultural Japan
★★★★☆
タイトル通り、「日本単一文化論」が実は国家的イデオロギーに過ぎないことを、国内外の論客を集めて打ち破ろうとした野心的論集。「日本のふるさと」としてマスコミがもてはやす「飛鳥村」の今の姿は、実は国が作為的に作った人工風景であること、「日本食の代表」とされる「米」が、歴史的に見れば決して日本人の代表的食物でないこと、等、日本文化について私たちが「常識」と思いこんでいることの多くが、明治以降の「国民教育」の産物であることを例示してくれる。日本を曇りのない目で理解したい人、外国の人と日本を語り合いたいと願う人には必読の書物と思われる。一部考古学の分野の論考が専門的過ぎて難解ななのが残念。