児童文学ではあるが、奥が深い作品
★★★★★
この岩波のものか福音館のものかどちらを買おうか迷っている方。
原作に忠実な翻訳で読みたいという方は岩波を(完璧ではないですが)。挿絵を見てイメージしながら読みたいという方は福音館を。福音館は少し翻訳の仕方が気になります。角川文庫のものはおすすめしません。英訳本からの翻訳であるがゆえに間違いが目立ちます。挿絵は全くないからでもあります。
ちなみに、「あんちくりすと」さんが述べていることは間違っていると思います。確かにアニメと原作とでは特に宗教的な点でかなり違います。第二部(原作は二部構成。第一部:Heidis Lehr- und Wanderjahre. 第二部:Heidi kann brauchen, was es gelernt hat.)は信仰をすすめる傾向がかなり強いです。だからといって「読んでみてガッカリ」なんてことはありません。それから、物語はそんなに単純ではありません。夕日に照らされて真っ赤に燃え上がる山を見たハイディが「感動」していることの意味、フランクフルトでのハイジの病、クララはどうして立てたのか。『ハイジ』を通して考えるべきことは、特に現代の我々にとってはたくさんあり、奥は深いと思います。あとキリスト教の知識がなくても普通に読めます。新約聖書の「放蕩息子」の喩え話の内容はちゃんと物語の中に書かれていますし、それ程複雑な信仰ではありません。アニメしか見たことがない方、ぜひ原作を読んでみてください!!