以上のことを考慮してもこの本は大変読みやすいと思います。多くの場の量子論の本は数式の導出を省略したりしますが、本書では、数式の導出は他の本に比べてかなり詳しく書かれています。
数学的な記述(微分形式など)のある場所は分からなければ飛ばしても読み進めると思います。現代的な場の量子論の輪郭はきちんとつかめると思います。
天才的な人物でない限り、最初からすべては理解できないと思うので、これを基本に他の高度な本を必要に応じて読んでいけばいいと思います。
この本は一人でもほぼ完全に読みきれる非常に優れた本だと思います。
ただし、序盤のほうでgroup,geometryなどの数学的なセクションがあり、予備知識があれば大丈夫だけど・・・という所もある。しかし、それらも初歩的なもの。たまに、回りくどくて何を言いたいのかわからないような文章もあるが、それを埋め合わせる数式の量を思えば、気にならない。
とにかく、他の本のように天下りに長い式をいきなり与えるようなところは極力無くしたという感じの本で、自分でやったという達成感が感じられるお勧めの本である。