クリスチナ女王 [DVD]
価格: ¥3,980
グレタ・ガルボ主演のMGM映画で最高傑作といえるのは――『椿姫』や『ニノチカ』をどう評価するかにもよるが――17世紀のスウェーデンの君主を描いた本作であろう。ドレスよりも紳士服の上着のほうを好む女王の物語は、偉大なスターの両性愛的な雰囲気とあいまって実に刺激的な内容になっている。ガルボの要望で、ルーベン・マムーリアンが監督を務めた(ガルボの傑作3作は、名監督マムーリアン、ジョージ・キューカー、エルンスト・ルビッチによるものである)。伝説的なシーンは2つある。1つはクリスチナが雪に降り込められた宿の部屋で、初めて経験した恋の記憶を忘れまいとしているシーンである。そしてもう1つは、女王のクローズアップの長回しが、文字の消された石板のように真っ白な船首像になるラストシーンであり、公開時から70年を経た現在の観客は、この映画の意味、情感のすべてがそこに込められているのを観ることになる。こういったシーンには名短篇集に収められた作品のような味わいがあり、映画全体もたいていのガルボの出演作と違って知的な筋書きが続いていく。ルイス・ストーン、C・オーブリー・スミス、サイレント映画時代のガルボの共演者といえばこの俳優といわれるジョン・ギルバートらが、ガルボの恋愛対象としてつかのまスクリーンによみがえる。(Richard T. Jameson, Amazon.com)