ふるさとへ向かう道路は渋滞だけれど、車の窓には人々の陽気な顔がのぞき、車道の路肩ではアイスやカップめんを売ってる人がいる。各ページいっぱいに描かれた表情豊かなたくさんの人たちをひとりひとり眺めながら、「ソリちゃんはどこ?」と、かわいいチョゴリ姿のソリちゃんを思わず探してしまう。
そして、たどり着いたハルモニの家では、親戚みんなでごちそうを囲み、村では祭囃子(まつりばやし)が鳴り響く。絵本から、チュソクを楽しむソリちゃんの笑い声と韓国の人や自然、はたまた料理のにおいが届いてきそうだ。日本の子どもも大人も、この本を読んだらきっと、韓国の暮らしぶりを身近に感じるはず。
著者のイ・オクベは、『せかいいちつよいおんどり』で1997年BIBC(ブラティスラバ国際イラストレーションビエンナーレ)に選ばれた絵本作家。本書では、著者の持ち味である繊細に描写された街並みや風景のイラストをたっぷり味わってほしい。(分須朗子)