とにかく、古今東西の映画、映画俳優、映画を離れた史実、現代の世界情勢への風刺精神、これらの全てに目配りができている教養人橋本治だからこそ書ける本です。だから、必ずしも映画に詳しくない私のような人間でも、上記したいずれかへの関心が高ければ何か引っ掛かってくるものがありますから、躊躇せずに手にとって欲しいですね。
この本で割としょっちゅう配役に回されてる人ってのがいて、ジョン・マルコビッチや石塚英彦やタッキーやサミュエル・L・ジャクソンや爆笑問題だったりするんだけど、この中の誰か一人二人くらいは皆さん知ってるよね?だったら、この本の全48篇のうち、一つ二つは腹を抱えて笑えるものがあること必定でっせ。
「バトルロワイアルPTA」だとか「フェデリコ・フェリーニの鉄腕アトム」だとか「オズの魔法使いの日本版。都はるみが主人公のドロシーで森進一のかかし、沢田研二のロボット、五木ひろしのライオン、魔法使いは美空ひばりでみんなで歌いまくる映画」とか「木村拓也主演、監督深作欣次」とかそういうおもしろい話、具体的な筋やキャスト、スタッフもおもわず映画ファンならにやりとするようなネタが細部まで作りこまれており、話の種には最高だと思います。
ああ、よくこんな事思いつくなあ、って思います。実際に映画化されたら本当にヒットするんじゃないか、って。
この本は本当に「こういう映画が見たい!」っていう純粋な動機から書かれた本だと思います。
映画秘宝とかでもこういう企画やればいいのに、絶対受けると思いますよ。読者投稿覧とかも作ってね
「こういう映画どう?」って思いつく限りのおもしろいことをみんなやればいいんですよ。
本人がどのくらい映画について知っているか、っていう事もわかるし。こういう企画をみんなでやればみんな映画を勉強しだすだろうし
橋本治はずっと読んできたけど、こういう本も書けるのかって知りました。この本はここ最近で一番のヒットです