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シネマ女性学

価格: ¥2,100
カテゴリ: 単行本
ブランド: 論創社
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採算のための妥協 ★★★☆☆
 映画なら興行成績、書籍なら販売実績という採算の指標のためには、視聴者や読者にある程度妥協しなければならないという現実を突きつけられた気がします。

 例えば、この手の本で必ず取り上げられる映画「ステラ」です。内容は今さら私が説明する必要のない有名なものです。どの本でも概ね好意的に評価されています。特にラストシーンがいいとされています。主人公が、自分の娘が超エリート青年と結婚式を挙げるのを見届けて、大雨の中満足して引き上げていきます。
 ただ、冷静に考えるとどうでしょう。「幸せな」結婚で終わる。これは「白雪姫」「シンデレラ」・・・etc.のお伽話(+ディズニーによるモディファイ)のパターンではありませんか。 若桑みどりさんの名著「お姫様とジェンダー」に言及するまでもなく、女性学の世界でその手の「お姫様もの」がどう評価されているかは周知のことです。もし娘の成功を喜ぶシーンで終わりたければ、ステラにはもう少し長生きしてもらって、例えば娘がジャーナリストになってピューリツァー賞でも受賞するのを見届けて・・・というような形にならないものでしょうか。
 映画でこのようなラストを設定したり、またそのような映画をも本書で取り上げざるを得ないところに、冒頭のジレンマを感じます。

 単に女性が主人公として活躍したり、幸せになるだけの作品が、女性学で推奨される映画でないことはもちろんです。誰もが近づきやすい、映画というメディアの性質上、未だジェンダーの問題意識の希薄な人に問題を投げかけ考えさせることを期待したいものです。もちろんそのような映画もたくさんあって、本書でも取り上げられています。