しかし、著者の行う絵画療法は、安易なシンボル分析とは一線を画しています。こういう絵を描く人はこんな性格とか決めつけるのではなく、クライアントの傍らによりそって見守る視線、懐の深さのようなものが感じられました。
特に、死期の迫った子供たちの絵画は感動的です。人間の可能性の大きさ、神秘に気づかされます。
また、絵を描くことの癒しの力のすごさも実感しました。
なんとなーく、心理学というものに不信感を持っていたのですが、この本を読んで見直してしまいました。
自分でも絵を描いてみようという気持ちになりました。自分で自分の絵を分析するためのヒントも、この本には満載されていますが、何よりも、ありのままの自分を認め、表現するために絵を描いてみたいと思いました。絵画という、人生を旅する上で、とっても力強い道連れを再発見できました。