リー群と de Rham の定理
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本書の大きなテーマは, 二つある.
まず, 第1, 2章で、多様体とベクトル場の基本を述べた上で,
一つ目は、リー群に関するものを述べている. 「リー群の閉部分群は, 再びリー部分群になる.」及び, 「リー群の閉部分群による商には、多様体構造が付く.」 と言う、二つの定理が、第3章で述べられる.
二つ目は、de Rham の定理である.
第 4, 5章において, 「de Rham cohomology と singular cohomology の graded algebra としての標準的な同型」 が, 定義され, それが実際に同型であることが証明される. graded algebra としての同型定理ではなく, graded group としての同型定理は, 「シンガー&ソープ:トポロジーと幾何学入門」と言う本にも書いてあるが、シンガーとソープの本での証明は, 多様体の三角形分割の定理を暗に必要としている.
しかし, この Warner の本での証明は, 層の理論を用いることにより, 三角形分割定理を使用することなく, graded algebra としての同型定理の証明を, 綺麗に述べている.
最後に, 第6章では, 「コンパクトで向き付け可能なリーマン多様体の de Rham コホモロジー群の元は, ただ一つの調和形式で代表される」 という, Hodge の定理が証明されている.