多様な分析方法を見せてくれます
★★★★☆
「名曲探偵アマデウス」は名曲のもつ音楽的な特徴を楽しく解説してくれる番組です。その監修者でもある野本由紀夫准教授(玉川大学)の編著なので即購入しました。執筆には野本氏(ベートーヴェンからロマン派、国民楽派、ホルスト、マーラー、リヒャルト・シュトラウス)のほか、松村洋一郎(慶応義塾大学博士課程。協奏曲と古典派)、稲崎舞(国立音楽大学博士課程。シューマン、ワーグナー、ヴェルディ、ビゼー、プッチーニ、ラヴェル、シベリウス、ドビュッシー、ストラヴィンスキー)の若手が参加しています。
楽曲分析には本来は一定の方法があるのでしょうが、この本は曲によって型や構成を論じたり、作曲家の人生との関係を論じたり、楽想を論じたりといろいろな技を見せてくれます。
なんにでも使える切り札のような便利なものはないんだなということが分かりました。また、声楽については説明不足だと思います。
CD2枚つきで各々70分以上23曲が聴けます。音源はナクソス・レーベルからですので、有名な演奏家ではありませんが、しっかりしています。解説と合わせて考えたら、お買い得です。