リー代数の重要な入門書
★★★★★
古典になりつつある本書であるが、リー代数についての重要な1冊と言える。
半単純リー代数について、ルート系やウェイトなど基本的な事柄は一通り記述されている。また、一意性や既約性をワイル群をもちいて慎重に証明されている。数学専攻の人たちには講義などで学習済みの事かもしれないが、数学専攻以外の理工系の方々にも、リー代数を学んだときに出てくるワイル群の重要性・有用性を認識させてくれるものである。さらには、無限次元リー代数や量子群など発展しつつある時に書かれているので、有限次元リー代数に限らない証明が時折なされているのが興味深い。本書は70年代に書かれているので用語や記号が現在と異なるところが多々あるがあとがきに現在の記法との違いを説明しているので問題ないと思う。
ページ数の少ない本であるが、リー代数を知る上で重要な本であると、再度言えるのではないかと思う。