第1章は談話分析とはどんなものであるのかについて総論的に説明していきます。しかし、やはり実践ということが念頭にあるので、個別の問題に深く立ち入るようなことはしません。第2章は談話分析と文法の関係についてです。談話分析という手法を用いることによって、文法において新たにどのようなものが見えてくるのかを説明しています。結合性の問題や時制などいくつか興味深いものが取り上げられています。第3章は談話分析と語彙ということで、語彙が他の語彙との関係の中で選択され使われているということがよく分かります。第4章は談話分析と音韻論についてです。談話という観点からイントネーションやピッチなどを捉えています。そしてイントネーションやピッチの選択にもその背後には複雑な要因があり、一連のプロセスを経て所定のものが選択されたということが分かります。第5章は話し言葉についてです。コミュニケーションに関わる様々なものが考察されています。第6章は書き言葉についてです。書き言葉はどのような特徴があるのかを示してくれます。
この本は教師として学習者に言語を教える場合にどのようなことを考えるべきかを示してくれます。ただし、談話分析を本格的に学ぼうという人にとっては物足りないと感じると思います。実践という問題を考えることにおいてはとても便利な本です。