ハルク (UMD Video)
価格: ¥3,465
『スパイダーマン』『X-メン』などで映画化の大ヒット作が続くマーヴェル・コミックス。この『ハルク』も、自分のパワーに疑問を抱くという点は、マーヴェルのヒーローの共通項だが、その苦悩ぶりが際立っている。科学者である父親の“悪の野心”から生み出されたハルク。自分の意志とは関係なく、巨大な怪物と化す主人公ブルースは、徐々に変身することに本能的な喜びを感じ、その分、自分自身に戻ったときの苦悩が深まるのだ。アクションとともに人間ドラマも描けるアン・リー監督は、ブルースと父の葛藤を軸に、恋人の関係にも深く切り込んでいく。
では、映像はどうか? ハルクの驚異のジャンプ力や無敵の筋肉パワーといったアクションや、ブルースの顔を連想させる表情などは、VFXを堪能できる。ただ背景との合成で見ると、ハルクの動きが超精密な「CGアニメ」に見えてしまうのが、なんとも残念。オープニングのヒトデなどを使った実験風景が物語の不気味さを高め、原作のコミックを意識した分割画面などがユニークなだけに、惜しい。(斉藤博昭)