「ドブネズミみたいに美しくなりたい。写真には写らない美しさがあるから」<12>。簡素な言葉で物事の、社会の、そして人間の真実をぐっさりと射抜いてしまう歌詞とシンプルでタイトなバンド・サウンドによって、多くのミュージシャンたちにあまりにも大きな影響を続けるフォーピース・ロックンロール・バンドの、まさに衝撃のデビュー作。歌詞ばかりが注目されがちな彼らだが、その楽曲もかなりの高品質。また、ボーカル・甲本ヒロトの性急感とせつなさを同時に吐き出す声も、恐ろしいほどに魅力的だ。(森 朋之)
至福の34分
★★★★★
このアルバムを聴いてる時間は幸せだと感じます。ブルーハーツというバンドは自分という存在をそのまま受け入れて肯定してくれてると感じさせてくれるのです。音楽を聴いてそんな風に感じるのはブルーハーツとハイロウズだけです。皆さんがおっしゃってる通り、とにかく優しいのです。優しくてあたたかくてありのままを受け入れてくれる、彼らのような母親になりたいと思います。もうすぐ中学に入学する息子に入学祝いとしてこのアルバムを贈るつもりです。
イライラしている10代に・イライラできない40代に
★★★★★
今年で40になるんだけど、このアルバムを聴いたのは確か高ニだった気がする。
当時好きだったエコーズのアルバムとこれを比べて、なけなしの小遣いからどっちを買おうかレコードショップで悩んだ。
友達の「こっちがいいんじゃない?」という一言でこのアルバムを買って、その日から聴きまくった。
今思えばあの時はグレるわけでもないけど、イライラしていた。
これを聴いたら、イライラしているやつがここにもいるって感じた。嬉しかった。
本当にナイフを持って立つなんてできなかったけど、心の中にナイフは持ってたと思う。
今、イライラしている10代・20代はもちろんマストアイテムだろうけど、
書いているそばから40代のやつらに聴いてほしいって思った(30代はまだパワーがあるから浮かれててもいい)。
それくらい初期衝動とエネルギー、なんかもうまっすぐなまっすぐなもんしか詰まってない。
だからこそくたばる前にもう一度聴きたいって思う(40近づくと老いを感じるんだ)。
これ読んでる10代の奴、いっぺん聴いてみ。
人生大損するから(笑)
君が40代を迎える時、このレビューに共感するかもしれない。
法律で取り締まるべき
★★★★★
日がなダラダラしていた甲本ヒロトの家へ、バンドやろうぜと誘いに行った真島昌利が、
「こんなもんばっか見てんじゃねーよ!」とテレビを叩き壊したとき、すべてが始まった。
このアルバムのせいで一体、何人の品行方正な若者が価値観を変えられ、
人生のここぞという岐路で、一生を棒に振るかもしれない、
アホでアナーキーな方の道を選んでしまったことだろう。
聴いた人間の世界を永遠に変えてしまう、危険なパンク・アルバム。
すべての男子中高生必聴。
1987
★★★★★
パンク・ファッションに身を包み、何かに突き動かされるように心の痛みをビートに乗せていたブルーハーツ。今からおよそ20年ほど前、バンド・ブームと呼ばれた音楽シーンの真っ只中にリリースされた彼らの1stアルバムだ。技術的な完成度という点ではひどくお粗末なものに聴こえてしまうが、この作品に込められたピュアな想いだけは、まるで真空パックされたかのように、時間を越えて新鮮なままで確実に伝わってくる。「リンダリンダ」収録。
パンク・ロックが好きだ。
★★★★★
ザ・ブルーハーツが、このデビューアルバムの中で歌っているメッセージ性や主張というのは、決して目新しいものではなく、
内容だけならもっと過激な事をいっているバンドやアーティストは過去に幾らでも居ました。
でも。
ピュア過ぎる言葉のチョイス、何処までもポップな楽曲、そして甲本ヒロトの声、が一体となった時、
魔法がかかりました。
余分なものの一切無い、純度100%のアルバムだから、この作品は永遠の輝きを放ち続けます。
日本ポップミュージック史に、突然変異みたいに生み出された宝石のような名盤。
是非。