面白い
★★★★★
作品の小道具は、不気味な策動を続ける巨大企業
そして見るからに残虐な悪役である女性と、田中氏の作品では定石とも言える配置ですが。
一番に注目されるのは、主人公とヒロインでしょう。
田中芳樹氏が明かした話によれば、自著の中でもっとも好きな男女のキャラクターは誰かとの問いに対しての氏の答えは「耕平」と「来夢」でした。
これは氏の作品「夏の魔術シリーズ」の主人公とヒロインです。
この作品では、たまたま駅で出会った男女が冒険をする物語ですが。
男性は18歳に対して、女性は12歳と、恋愛対象とはなりえない年齢差でした。
しかし氏は、この男女の組み合わせがよほど気に入ったのでしょう。
この作品を契機に幾つもの作品で、成人かそれに近い年齢の男性と十二歳くらいの少女の組み合わせの作品を書いています。
KLANでは主人公とその腹違いの妹として、他にもタイタニアでも主人公ではありませんが同じような年齢差の男女を登場させています。
もちろん、それ以外のいくつかの作品で似たような男女の組み合わせが見出せます。
この「自転地球儀世界」では、叔父・周一郎と姪の多夢がそれに相当するでしょう。
新聞記者の叔父と、彼を慕う姪。
最近では、このような成人男性と、中学生くらいの少女の組み合わせをロリコンと片付け。異常性愛と考える風潮がありますが
もちろん、作品の二人はそのような関係ではありません。
どこまでも少女を兄か友人のような立場で愛する男性として、周一郎が描かれています。
この作品は主人公が、道に迷い、たまたま入った雑貨屋で何となく手に入れた地球儀から始まる、主人公とヒロインの冒険譚
使い古された展開から始まる作品ですが、実に楽しい作品だと思います。
これは読まないと損でしょう。
★★★★★
私はこの地球儀の秘密にでてくる周さんと多夢ちゃんの微笑ましい言葉のやりとりが大好きで何度も読み返した記憶がある。こういった二人の関係は理想であり、それをとてもうらやましく感じたのも事実。相変わらず田中芳樹作品の異世界ものは完成度が高くどうしてこんなに読者をひきこむことができるのか不思議に思う。これと西風の戦記に関しては特に購入して損はないと断言できる。
初期作品なので…。
★★★★☆
最近、田中芳樹さんの作風に翳りが見られるなどの批評はありますが、本作は比較的初期に当たる作品なので十分に楽しく読むことができます。表題からわかるように、おなじみ異世界ものですがとても冒険心に富んだ作品といえます。ただ、いつ最終巻が読めるかという点においては田中芳樹ファンにとって愚問ですね。