ウェールズ出身の大所帯グループです。ツインリード、キーボード奏者がいて独立したボーカリストがいたグループは、この時代のイギリスでは考えられません。グループ結成の経緯は、ポール・チャプマン(g)、ケリー・ドリスコール(vo）たちを中心としたハイスクール・バンド。キーボード奏者のリック・ワースノップだけはカナダでスカウトされています。シンセサイザーの可能性を極めた「新しい」ハードロックの創造、がバンドのテーマだったことが明らかです。

このCDは、ファースト、セカンドのカプリングで、8曲め以降がセカンドの「FIRING ON ALL SIX」です。ファーストは、やりたいことが整理されていなくて、少々野暮ったい印象です。ビートルズのShe Said She Saidのカバーも必然性があったものとは思えません。プロデューサーがロイ・トーマス・ベイカーなので、プロデュースの方針が優先されたのではないか、と邪推もしてしまいます。ところが、セカンドになると、打って変わってグルーブが増し、曲は変幻自在になり、非常にカッコいいです。ひとつの理由は音数を絞っているからでしょうし、もうひとつはリズム・セクションの技量が上がったのでしょうね。ボーカルも、ジョン・スローマンに交代。この交代も「吉」です。シャウトするところでは、ロバート・プラントの声に似ております。

これだけ展開の激しいハードロックは、当時のイギリスではあまり例がないでしょう。このあと、契約を打ち切られて活動停止にいたってしまうのですが、アメリカに渡っていればそれなりにユーザーがいたのに…と残念に思います。

'76 の 1st 「邦題：孤独な星」と '77 の 2nd 「炎の銀惑星」の 2-in-1 です。
ハイテクなところと、インスト部分が長い曲や途中で曲調が変わる曲が多いので、プログレ・ハードのような分類をされることが多いです。ギタリストのポールチャップマンはその後 UFO に加入、2nd のボーカルのジョンスローマンは、ユーライアヒープに加入しています。

現物にリマスタ表記はありませんが、1st は、'90 頃に出ていた CD と比べると、高音がやや強調されています。音も大きくなってます。曲調は全体を通して、エフェクタによる音と、演奏に「隙間」が多いことで、スペーシーな感じがします。R&R の [3] もまさにロイトーマスベーカーという音で、他の曲と違和感はありません。なお、[1] はビートルズの曲です。

2nd はボーカリストが変わっています。たまに「こぶし」を効かせる歌い方で好き嫌いが分かれるところだと思います。曲は 1st と比べるとベースラインがはっきりしたことと、エフェクタが控えめになり、めりはりのある曲が多くなったのですが、特徴が無くなった気がします。

最近 BGO で良くある「意味の無い」紙カバー付きですが、表ジャケ画像は小さいですし、裏は 1st のみ（それも大きく並び替えられている）です。カバーつけるくらいなら、こちらをなんとかしてほしいです。
1st が☆５、2nd が☆３、平均で☆４としました。