1.外見 2.内面 3.対人間的なもの
しかし、本書を読むと、この考えかたがいかに大雑把な捉え方であり、表面上の問題に過ぎないかに気づかされる。著者はこれらの三つの観点を、少し違った角度からみるという見方を気づかせてくれる。つまり、それらを「どう表現するか」という部分を意識すると言うことが大事だということを教えてくれる。わかり易い例でいうと、声がある。単純に声と言うが、これにはさまざまな使い方がある。早さ、間、音色、高さ、大きさ。高さで言うと心から一番遠いところのことを話すとき声は高くなるらしい。そういう種類の事を意識的に行うことにより、声に表情がうまれ、人を引き付ける話し方にもなるのだ。
また、非常に面白い発見として、「第一の輪」「第二の輪」「第三の輪」という考え方がよかった。第一は一ごとの世界、第二は二人の世界、第三はみんなのせかい、それぞれに話し方がかわると言う。それを意識することによって、伝えるべき内容も変わってくるし、受けての印象も断然変わってくる。
このように、目に見えない部分を技術的に学ぶことにより、魅力を増すということは言われてみれば確かに納得できることなのだが、それに普通の人は気づかないと思う。やはり、演出家の目の付け所は違うと思い、感動した。
読み物としては一般的だし、非常に読みやすい。