お産の歴史 ―縄文時代から現代まで (集英社新書)

本当は怖いお産 ★★★★★

今では、分娩が病院で扱われるのがごく当たり前のことになっています。
ひと昔はよくて助産所、悪ければ、自宅分娩で産婆さんがとりあげていました。
急に帝王切開が必要になったり、新生児蘇生が必要になるこは今でも珍しくありません。
そのころは母体死亡や新生児死亡が多かったのは当然といえます。
江戸時代から妊産婦を診療するために尽力尽くした人たちがいたことをこの本で初めて知りました。
また、戦後、日本の産婦人科医師は本当に心身を削り、誠意を持って分娩に立ち会っていたのだと思います。
戦後以降、周産期死亡率の低下率は本当にすごいことです。
最近では産婦人科や小児科の医師不足が問題になっていますが、当たり前に出産することがいかに多くの人の努力の上になっているのか、今お産をしようとしている妊婦さんやその家族にはぜひ知ってもらいたいと思います。
また、産科医にもお産の歴史を知るにはよい本だと思います。

「不浄」といっても… ★★★☆☆

実際に出産を経験しているが、そのときは正直なところ
「病院にコントロールされた出産」という感が否めなかった。
今と違い昔はお腹の子どもがどれくらいの大きさかとか
いつ生まれるか、というのもあまりはっきりしなかっただろうから
皆それこそ命がけで産んでいたわけである。

おそらく「不浄」とするのも、母体と赤ちゃんの健康や感染症等から
守るための知恵だったのかもしれない。
今となっては、昔と同じように、とはなかなかいかないと思うが
できるだけ自然に近い形で子どもを産むことができれば幸せだと思う。

全てのヒトは「不浄」より生れる ★★★☆☆