学生時代に銀英伝や創竜伝にハマったファンとしては、
この『バルト海の復讐』はひたすら退屈。
海洋冒険小説としては書き込みが甘いし、
田中芳樹節とも言える、あの毒舌がまったく冴えていない。
この本の一体どこを読めばいいのか?という感じだ。
彼の著作で最近一番売れる「薬師寺涼子」シリーズも、
主人公のモチーフは明らかに創竜伝の小早川奈津子。
出版社が変わっても「アルスラーン」が進む様子は見えず、
(つーか何年止まっているんだ)
古巣・中国物も、いまひとつ精彩を欠く。
新しい、キレのある田中芳樹はもう読めないのだろうか。
あの冴えを、爽快感を、ファンは待っているのに。