立体現象学序論?
★★★★☆
西沢大良は今をときめくSANAAの西澤立衛の実兄である。華々しく海外へと活躍の場を広げる弟に比べるとやや地味ではあるが、それでもギャラリー間の個展を開くという栄誉を得た。この本はその展覧会に関連して出版された初の作品集である。
西沢大良によれば、世界はすべて立体の集まりととらえることができて、建築はそれらの立体を収めるさらに大きな立体である。歴史は立体の変遷史としてもとらえることができるが、特に近代以降の社会とは立体の種類と数が途方も無く膨張する過程であり、現代建築のプログレマティークはそれらをいかに収納するかということに還元することができる...
まるでヘーゲルのように?壮大な体系を見据えた究極の形式論は他の若手建築家にはない凄みがあり、今後の活躍が期待される。