暗号のことを一通り
★★★★☆
暗号というとスパイ物みたいな話が思い浮かびますが,今のインターネット社会においても不可欠な技術となっています.本書では,暗号の歴史,技術,各国の政策などについて述べています.
暗号の中でも公開鍵暗号は,電子商取引を実現する上で非常に重要な役割を担っており,これなくして今のインターネットの発展はあり得なかったでしょう.著者も言っているとおり,公開鍵暗号の発明者にノーベル賞を差し上げたいというのには全く同感です.
技術の説明のところでは,なるべく数式を使わずに平易に解説しようと試みているのですが,残念ながらこれは成功していないようです.ある程度数学的に書いてもらった方が分かりやすかったように思います.
暗号のことをある程度ご存じの方には物足りないと思いますが,一般教養として知りたいという方には良い本です.