インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

Fitzgerald: The Beautiful and Damned (The Cambridge Edition of the Works of F. Scott Fitzgerald)

価格: ¥12,992
カテゴリ: ハードカバー
ブランド: Cambridge University Press
Amazon.co.jpで確認
美形金持ち夫婦の転落人生 ★★★☆☆
『楽園のこちら側』で華々しいデビューを飾ったフィッツジェラルドの第2長編。刊行当時はかなり売れたそうですが現在の評価はそれほど高いとはいえず、おそらく彼の長編全作の中で唯一、邦訳が出版されたことのない作品です。
大富豪の孫として何不自由なく育ったアンソニー・パッチとその妻となる、やはり裕福な家庭に育ったグロリアが、贅沢と放蕩の果てに追いつめられていく様子が、異様に生々しいエピソードの積み重ねで描き出されます。読んでいるうちにかなりやりきれない気分に襲われることは請け合い。『楽園』と同様、今作でも舞台は1910年代がメインで、第一次大戦の兵役のエピソードもあります。終わりの方で、主人公の友人の売れっ子小説家が新進作家の人気作『楽園のこちら側』をこきおろす場面があり、苦笑させられました。
パッチ家の使用人として、「Tanalahaka」なる妙な名前の日本人脇役キャラが登場し、滑稽な役回りを演じます。当時の典型的な日本人観をなぞった形ですが、やはり嬉しいものではありません。
救いようのない暗い話ですが、人間の弱さや身勝手さを鋭く描き出す筆致は見事なものと言えます。またフィッツジェラルドならではの詩的な味わいも健在。『楽園』『ギャツビー』『夜はやさし』などの他作品が気に入った方ならば、本作も十分手に取る価値はあるでしょう。