多分、Wickerの Error Control Systems isbn 0-13-200809-2
を手にして、符号理論なるものに嫌悪感(!)を持ったような人(*2)でも、この「リー・コステロ」本なら素直に読めると思います。 (*2:これは私自身の事・・・)
「読める」と言ったのは、各章の末尾問題に解答が与えられていないので、独習する者として、自分の理解の程度がきちんと確認できないまま・・・という曖昧さが残る為で、私の評価基準からは「星4つ」になります。 ごめんなさい。
Araziの本が、「言葉」を多用した丁寧な解説をしている(そのため、逆に -話し言葉- を解釈する苛立たしさを感じることが多かった)のに対し、この本は「比較的」短いセンテンスで記述されている為、英文解釈の難しさは殆ど感じないで済みます。 また、本書の第2章で解説されている代数の水準は、Arazi本の巻末付録部から(期せずして)自然な復習過程をたどるようにして読むことができる程度です。
無論、ハミングコードや簡単な畳込!み符号であれば、Arazi本の知識だけでも十分にFPGAなどで「遊ぶ」事もできるのですが、実際に符号理論を応用している現場で「役に立つ知識」の水準はそんなに甘くはないという事です。
この本の著作年代は1983年なので、ターボコード等のような先端のトピックには触れていませんし、私の場合には、RSコードやViterbiデコードなどについて具体的な回路(やプログラム)を考える上で、例えば C. B.Rorabaugh の Error Coding CookBook isbn 0-07-911720-1 などの他の著作からの補助が必要でした。
この本は、基礎入門書 -Arazi本- から次のステップを踏み出す為に、私が見つけた限りでは、おそらく最適な著作だろうと思いますし、現代の符号技術で必須とされる多くの知識についてをちゃんと学ぶのであれば、欠かすことのできない本格的な基礎解説書なのではないかと思います。
基礎解説書とは言いましたが、まだまだ自分でトレースし切れない数式展開が残っていますので、これからも何回も読み直してみるつもりで居ます。