申し訳ないが、古い
★☆☆☆☆
当初リリースは1964年2月にハヤカワ・ミステリとしてリリース。文庫化は2004年8月20日。筆者のヘンリイ・スレッサーは1927年ニューヨーク、ブルックリン生まれで『アルフレッド・ヒッチコック・マガジン』の創刊とともに常連執筆者だった人だ。この本の序文はヒッチコックが書いていて、物語の始まりを盛り上げている。
登場人物はどれもある意味『チャーミング』ではある。相手の言い分をよ喜んで聞く強盗、もの凄く奇妙な理由で不眠症になった男、黙っていれば命が助かるにもかかわらず、喋らずにはいられない女・・・・。当時としては充分に刺激的で愉しめたのかもしれないが、どうも申し訳ないが古い。刺激が足らない、と感じてしまう。
まあ、ある意味こういうストーリーでも十分に愉しめた時代だったのだな、と再認識はできる一冊だ。オススメはしない。
うまくて、しゃれてるミステリ短篇集
★★★★★
◆「処刑の日」 ※別題「死刑執行の日」
若く上昇志向の強い検事ウォーレン・セルヴィーは、
見事裁判に勝ち、有罪判決を勝ち取った。
この評決によって、彼の検事としての評価は磐石のものとなり、
美しい婚約者ドーリーンの存在も含め、彼の前途は輝かしいもの
となるはずだった。
しかし被告の死刑執行の当日、彼の運命は大きく変転する。
なんとアーリントンというみすぼらしい老人が、セルヴィーが
担当した事件の真犯人は自分だと告白してきたのだ……。
老人の言葉に狼狽したために、栄光から一転、どん底にまで
転落してしまう若き野心家の悲喜劇がシニカルに描かれます。
また、結末で老人の正体が明かされる《最後の一撃》もので
もあり、そのブラック・ユーモア溢れるテイストが堪りません。