駄作。残念ながら。自殺する動機に問題あり。
★☆☆☆☆
主人公は自殺を図り、丹後の山村の民宿に旅する。睡眠薬を大量に飲むが、致死量ではない。小説では、恋人との別れ、会社で仕事がうまく行かない(保険の外交員なのに保険が取れない)など、理由が示されるが、あまり説得力がない。別れた理由がそもそも明確でない。人は恋人に裏切られると死にたいと思うが、どうもそういった理由で別れたのではなさそうだ。とすると、人間関係への疲れか。その程度では人は死ぬとは思えない。病気、借金苦、恋人にひどい仕打ちを受ける、などが重なる必要があると思うが、何だかわからない理由で自殺もどきをする。
自殺もどきは民宿の主人にも見透かされており、淡い恋心が芽生えるが、当然のことながら(読者にもうすうす気がつくことなのだが)成就しない。
プチ鬱のOLが山陰の山村に行き、癒されました、という話なのだが、どうにも感情移入できず、主人公に同情もできず、困った。
民宿のおやじだけが魅力的。
大人の遠足
★★★☆☆
上手くいかない仕事や人間関係に疲れ、山奥の民宿で自殺を試み失敗した23歳の千鶴。
大自然に囲まれ、民宿の男性や田舎ならではの大らかな村人と触れ合ううち癒され、居心地が良くなってくるが、やはり自分の居場所はここではないと悟る。
主人公がいきなり!でも地味に自殺未遂…と、穏やかでないスタートですが、物語の時間はゆっくりゆっくり流れていきます。
難しい表現もなく、200ページにも満たないので頭を使わず淡々と読めます。
良くも悪くも普通の話。
音楽で言うとサビのない曲。
千鶴の悩みは他人からすれば、転職すれば済むことじゃない!? 何も自殺しなくても…
と思うような事でしたが、心がお疲れの時は目の前にある答えも、すぐ横にある抜け道も見えなくなりがち。
ちょっと深呼吸すれば意外とすぐ気付けるのに。
大事件が起こってハラハラしたり、キュンとする恋が描かれているわけではないけれど
一人でふらっと遠出したいなぁ…とぼんやり思えるお話でした。
天国はまだ遠く
★★★★☆
心が疲れちゃってどうでもよくなってしまうことってある。
そんな時にこんな民宿に泊まれたらいいな。
あのまま泊まり続けて恋に落ちるって結末もありだとは思うけど
あえて去って行った主人公の方が共感できる。癒される本。
生きてる喜び
★★★★☆
長くはないお話で、主人公が自殺志願者という設定にも
かかわらず、ハラハラすることなどなく、しんみりと読めました。
登場人物が少なく、大きな事件も起こらないので、
読み終わりにちょっとだけ物足りない感じもしますが、
あたたかく切ない、気持ちの良いお話です。
「頑張って生きよう!」と力まされるのはでなく、
人生っていろいろあるけど、せっかく生きてるんだから
今より少し前向きにいってみようかな?という
小さな元気をくれる1冊でした。
”日常を作る”という当たり前で大切なこと
★★★★★
山深い集落で暮す。
自然は素晴らしく、綺麗でおいしい。
しかし、ここは自分の場所ではない。
*****
この地で悟りを開くのはまだ早い
私は私の日常をちゃんと作っていかなくちゃいけな
*****
何を出来るわけでなくでも
何かを続けること。
それが大事。
社会でいき続けることを、優しく教えてくれる
若い人にも、社会に出ている大人にも
幅広く示唆を与えてくれる。
瀬尾作品に臨む時には、どうか肩の力をぬいてどうぞ