「プロ野球はある意味世代闘争であり、常勝を義務付けられ実績のあるベテランを使わざるをえない巨人は、世代闘争での敗北を宿命づけられている」
「野球漫画の多くは本格派左腕投手がヒーローであり、こうした漫画で育った世代が待ち望んだ選手が江夏と鈴木啓示だった」
「近年は勝利優先でエース同士をぶつけないので名勝負が少なくなってきている」
「東尾の笑いにはデ・ニーロのようなキレる寸前の犯罪者を思わせるような凄みがある」
こう書き連ねると読む前の興味を削いでしまうかもしれないが、ほんのさわりなので心配は無用。
著者はこれからも“一野球ファン”“観ることのプロ”としての矜持を持ち続けるだろう。そうである限り、僕も著者の言説に触れ続けていきたい。