一外交官の見た明治維新〈下〉 (岩波文庫 青 425-2)
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下巻には、1867年7月頃から、賜暇帰国する1869年2月までのことが書かれている。この頃になると、日本人の心情をかなり理解できるようになった著者は、日本食を好んだばかりでなく、芸者を揚げてのどんちゃん騒ぎも相当楽しんだようである。また、西郷隆盛、後藤象二郎、桂小五郎、伊藤博文、勝海舟、大久保利通などに直に接して情報を提供しあい、日本のとるべき政策や政治制度などについて話し合っている。そこからは当時の彼らがどういう考えを持っていたのかが分かるだけでなく、大政奉還前後に起きた様々な事件の意味合いも明瞭になってくる。朝廷、幕府、各藩の力関係も教科書を読むより把握しやすい。戦前は禁書として扱われていたことがうなずける、明治維新を内部から描いた一級の資料である。