構造危機+政策危機=長期不況?
★★☆☆☆
・何か物足りなさが読後に残ったアジア経済危機に関する従来までの著書であった。しかし、本書は英国・オランダ・イタリアの先進国の70~80年代に経験した「先進国病」を検証したことで視野が拡大し、さらに、より歴史性を帯びさせたことで、読者に大変興味を抱かせる内容になっている。
・著者は、「『日本病』を引き起こした構造危機・政策危機については、これまで検証した途上国・先進国双方の特性が色濃く見られる」と指摘している。
・すなわち、著者は経済の長期停滞について、政策危機の果たした役割を重視している。
・日本で現在進む小泉首相の構造改革も「構造危機」に関する認識は存在するが、「政策危機」に関する危機感が不足しているために、四面楚歌状態に陥っているのが現状である。そして、国民の期待を裏切った状態になったことは、本書を読めば理解できる。
・本書は先進国病と途上国の経済危機をリンクさせる命題を提起したことで、一読の価値が大いにある。ぜひ一読されて、私の味わった目から鱗が落ちた「感動!」を共有されることを期待します。