企業事例が部分的な切り取り掲載で、経営全体の問題は識がたかまらない。独自の主張や分析の視点も乏しい。
テクニカルな記述についても物足りない。
再生事例というより、事務処理の一部を説明したという感じ。

特に、以下の諸点で企業再生関連の書籍として他に類例を見ない良書
といえる。
●プレーヤーの類型が分りやすい（再生機構、金融、コンサル、ファン
　ド等といったエクスポージャーの異なる視点は実務で極めて肝要。
●執筆が各プレーヤー別によるもの。そのため、割り引く必要のある
　反面、比較的堅確な手法を披瀝するモチベートになっており、大変
　参考になる。
●行政、民間金融、中立的コンサルファーム、ファンドといった図式か
　ら企業再生の新たなフレームワークを考えるに貴重な示唆に富んでい
　る。
加えて、ターンアラウンドスペシャリスト（独立・個人）からのインサイトも今後重要になることから、改訂版で期待したい。