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ビジネス・インサイト―創造の知とは何か (岩波新書)

価格: ¥4
カテゴリ: 新書
ブランド: 岩波書店
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対象への棲みこみと、ある地点での飛躍 ★★★★☆
マーケティングや理論が先行しているような中で本著は別である。

まず実践があり、その対象への棲みこみによって、飛躍への下地ができる。
飛躍は、実践の上に理論が意味をもち、あるふとしたアイデアが、
あくまで対象への棲みこみの結果として表れてきたものである。

昨今こうしたビジネスインサイトによるイノベーションが非常に重要であると言われており、
池田信夫氏の使える経済書100冊 (『資本論』から『ブラック・スワン』まで) (生活人新書)でも紹介されていた本である。

経営学の新たな方法論を提起―「暗黙の認識」と「対象への棲み込み」 ★★★★☆

 「ビジネス・インサイト」とは、一見してクルマの名前みたいな少々聞き慣れない言葉だ。辞書的に“インサイトinsight”とは、「洞察(力)」とか「識見」といった意味だが、本書では「将来を見通す(見通していく)力」という含意で使われている。そして、「実証的経営(論理実証主義)」の陥穽と限界を訴え、物理化学者にして哲学者、マイケル・ポランニーが展開した「知の暗黙の次元(暗黙の認識)」に依拠しつつ、ビジネスにおける「創造の知」などを論じている。また、その具体的な事例を流通業の分野において示しているのも本書の特長だろう。

 著者の石井淳蔵氏(流通科学大学学長)は、日本におけるマーケティング・マネジメントをコアとした経営学の中心的存在だが、当書ではイノベーティブなビジネスモデルの創発やシナリオ創新に関して、ビジネス・アナリシス的な見方を排し、「偶有性」(必然でもなく不可能でもない様相)を包摂した「新しいケース・リサーチ」などを提唱している。とりわけ、石井氏はポランニーの語る「対象への棲み込み」を強調する。それは「インサイトに至る過程には対象に棲み込む(dwell in)という機制(メカニズムのこと−引用者注)が働いている」からだ。

 この過程を石井氏は重視する。なぜなら「知は関係あるいはプロセスの中で創造される」からだ。氏は「優れた経営者は、事業のインサイトを得てビジネスの発展を図る」とし、「経営者は跳ばなければならない」と説く。こうした意想は、私としても十分共感できる。ただ、氏のイノベーションジャンプは、結局は経営者の個人的資質の問題、という議論に陥りやすいかもしれない。ところで、前述の業界はともかく、特に「イノベーションモデル自体がイノベートされた」(妹尾堅一郎)製造業の分野では、新たな「創造的瞬間」の場面が訪れるであろうか。
新しい創造のための準備とは ★★★★☆
できるだけ、いろいろなことを俯瞰した立場でみれるようになれば、現在持っているアイデア以外の新しいアイデアを得ることができるのではないかと思い購入通読
読んでみると、ビジネスの中で何か新しい基軸となりえるものを発見する動き<ビジネスインサイト>を発見しそれを活用するために必要なことを記載していくれている。特におもしろかったのは、暗黙知の扱い。暗黙知がゴールではなく、暗黙知を感じることのできる状態を「知の暗黙の次元」と表現してその状態に「住み込む」ことでビジネスにおいても現在見えていないものが見えてくると提言してくれてる。本書でも指摘してくれているとおり、実証主義だけではな現在のビジネスシーンでは限界がきていてそれを埋めるべく、知の暗黙の次元の利用を提言してくれているのだと思う。また、事業定義のデコンストラクションが進み、最終的に組織が生き残るには「目的」を共有し続けることというのも非常に面白い。
新しいことを、世間ではまだ認知できていないことを考える必要があるときには本書で記載されている手法は役に立つときが来るかもしれない。
安冨歩 ★★★★★
石井淳蔵は名著『マーケティングの神話』でいわゆる計画制御的アプローチの欺瞞性を鋭く指摘した。これを、ポストモダン思想の経営学への応用と看做す向きがあるが、それは正しくない。なぜなら石井は具体的な現場での人々の行動を問題にし、それを読み解く営為を重ね、そのなかから独自の思想を生み出しているからである。同書を出版した際に石井は実務家の友人から「話はわかった。しかし、われわれへの指針は何か?」と問われたという。その後の15年の思索の成果が本書であり、ビジネス・インサイトの生まれる瞬間に棲み込むことでその問いに応えるものである。
ビジネスで「跳ぶ」瞬間、それがビジネスインサイト ★★★★★
「ビジネスインサイト」…それは新しいビジネスモデルが生まれるときに働く知。
序章での「経営者は跳ばなければいけない」というキャッチーな引用に始まり、実証主義経営の限界をクリステンセンの著書(イノベーションのジレンマ)などを紹介しつつ指摘し、実証に基づきながらも「跳ぶ」瞬間=「ビジネスインサイト」の必要性を主張します。
ヤマト運輸における小口宅配ビジネスへの気づきなど、第2章での事例紹介は著者のいう「ビジネスインサイト」の概念を理解するには十分な事例ばかり。他にも、ダイエー、セブンイレブン、ネスレ(キットカット)、カルビーなど、豊富な事例が紹介されます。このあたりはマーケティング分野の第一人者である著者ならではといえるでしょう。
ポランニーやプランクと関連付けた後半はかなり読みにくく理解しにくい内容だったのが残念ですが、「インサイト」が大事、ということはよく分かりました。自分の仕事に置き換えていろいろ想像するところがありました。知的想像力を刺激されるという点で有益な一冊かと思います。