全てはここから始まった
★★★★☆
最近「副業」のエッセーで評価されることの多い東海林さだおだが、「漫画文学全集」は日本文学史上に残る偉業であった。古今東西の日本文学代表作を題材に取りながら、原作の格調を完膚なきまでに破壊し、支離滅裂なナンセンス漫画に「おとしめた」手法は、その後の漫画、エッセー双方に通じる東海林文学の原点だと思う。この人の仕事を昭和40年代から見守り続けてきた評者としては、このハチャメチャ本の発行に踏み切った出版社の「暴挙」に拍手を送りたい。残念なのは、雑誌掲載時には絶妙なパロディータッチで、しばしば作品そのものを凌ぐ位の要約が付いていたのが省かれていることだ。その点を勘案して星4つとした。