原書で読めるのが嬉しい
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友人に教えてもらいフェルマーを翻訳で読み、これは大変面白いと、さっそく暗号も翻訳で読み、これまた裏切られず大変満足。
この3作目はまだ文庫本化もされておらず、ならばと原書を読みました。大正解。
フェルマーと暗号も原書で読み直そうと思ってます
日本人による原著も翻訳物も、科学系ノンフィクションを新書、叢書などで、読みあっさってきましたが、これを機に、翻訳物については原書で読むことにしてみます。
英字新聞などとても歯の立たない小生ですが、この分野なら原書で読めるのが嬉しいです。
天文学史を越えて物理学史から科学史へ
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古代ギリシャからの宇宙観の推移を描いた前半、中世の天動説とローマ教会の対立、そして安定的で永遠の宇宙観とビック・バン理論の対立。この時空を越えた議論のなかからSimon Signは科学とは何かという問いかけへの答えを導出しようと試みている。
500ページを越ええる大作ではあるが、文章は平易で論理的であり、理論的な点の多くは図表で説明が加えられており理解は容易である。
登場人物の生い立ちや置かれていた状況も良く描かれていて例えばハッブルの観測はするけど推測はしないとの頑な性格など、何でと問いかけたくなるくらいであった。
個人的には日本人の天文学に対する貢献の深さを考えると一人、二人くらいは登場するかと期待していたが、やはり日本人は内弁慶で、国際的な討論・討議の前では存在感が薄かったのかなと残念に感じた。
私は前作、”Fermat's Enigma: The Epic Quest to Solve the World's Greatest Mathematical Problem”に次いで本書を読んだが、未だ読んでいない方には本書と同じような論理を楽しむことができる前作も読まれることをお勧めする。
宇宙像と論争の大ドラマ
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Big Bang については その道の第一人者によるものを含んで すでに多くの解説がある中で、これだけ平易な形で 宇宙像全体とその理論の発展を 歴史を通して述べ、その折々で論争にかかわった巨人たちのエピソードを組み込んで、読み応えのある一大ドラマとして描ききった巧みさに感心させられる。普通の論文には表れない苦悩や葛藤も描くとともに、人間臭さも感じさせながら 全体像を見せてくれる かけがいのない一冊である。
Big Bang の決め手の一つとなった CMBの個所で "Boys, we've been scooped!" のくだりはその場の雰囲気が伝わってくるようで息を呑みます。
エピローグの章では 時空や量子宇宙について不充分な記述もあるように見受けますが 専門家の意見も聞きたいものです。