The Paradigmatic...
★★★☆☆
本書は1960年代に流行した一つの哲学的思想を典型的に表したものです。具体的には著者のHareは、或る人を幸せだと言うときに「what we have to do is to make an appraisal, not a statement of fact」なのだと言い、しかもそのappraisalは道徳的考慮に関わるものだと示唆しています。本書の徹底的な典型振りはその後に、或る人が幸せだと判断することは幸せだと言われる側によるものとは異なる基準に関わっている等々と続くことに示されており、本書は新鮮さというよりは1960年代哲学の一つの流れを求めるのには最適の書だと言えます。