これまで、渡部昇一や『新しい歴史教科書』など、いわゆる「右寄り」の歴史を読むことが多かったので、たまには違う立場の歴史を読んでみようと、読み易そうな岩波ジュニア新書を選んだ。岩波版「自虐史観」を覚悟して読み始めたが、意外に客観的な記述で、中盤までは何の違和感もなく、新たに知る事柄も多かった。
ただ以下の三点についてはいただけなかった。
①「盧溝橋事件の発砲が中共軍による」との説に触れていない点(p.152)
②南京「大虐殺」の記述、特に「虐殺された捕虜や民間人の数は、十数万人から二十万人近くに達するものと推定されている。」と一方的な説のみ取り上げている点(p.157)
③いわゆる「従軍慰安婦」に「性的奴隷」というレッテルを貼り、アジア諸国からの女性だけが徴集され、日本人慰安婦が存在しなかったかのような記述(p.189)
普通は敗戦で戦後を扱う巻に続くであろうところが、本書ではサンフランシスコ講和条約までの戦後処理までカヴァーしているのは良い点。