そして、いつもは助手役の「石岡和己」が主役で、御手洗探偵は助言はあたえてくれるけれども登場しません。
御手洗潔シリーズで一番好きなのはやはり「占星術殺人事件」です。
謎解きの殺人事件はなぜバラバラ事件が多いのか?
そして、この「龍臥亭幻想」でも腕や足、頭部の切断がキー・ポイントとなります。
上下巻を通して読んで、一番この本で感動したのはラストです。
謎解きを兼ねていますが、犯人の人間性、そして、作者の「石岡和己」氏に対する愛情を感じます。
推理小説はトリックと犯人を推理するのだけが醍醐味ではありません。
犯人が犯行にいたった背景、犯人及び登場人物の細かい人物描写。
全てにおいてこの話は優れていると感じました。
ただ、8年前の事件や石岡和己氏の過去を知らない読者にとってはどうでしょうか。
このシリーズ全てを読んでいる読者としては文句なしの星5つです。
蛇足ながら、吉敷&通子さんファンの私は、「涙流れるままに」以降、幸せに暮らしていた彼らに「ほっ」と安堵したのでした。