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龍臥亭幻想 下 (カッパノベルス)

価格: ¥1
カテゴリ: 新書
ブランド: 光文社
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龍臥亭幻想 下 (カッパノベルス) [Oct 20, 2004] 島田 荘司
龍臥亭幻想 下 (カッパノベルス) [Oct 20, 2004] 島田 荘司
猟奇伝説型異邦の騎士 ★★★★★
初出は2004年10月25日発表。ミタライ(石岡&里美シリーズとも言う?)シリーズ。龍臥亭8年ぶりの事件。『龍臥亭事件』を読んだ読者でこれを手に取りたくならない人はまずいないでしょう

ミタライ・シリーズは、今ではその登場人物がまるでドラゴン・ボールのように成長し続けている。考えてみるとそれはとても凄いことだ。島田"World"の中で、全てのキャラクターが人生を生き、成長していく。それは通子の娘ユキちゃんですら、である。ということで前作の登場人物が多数8年の年月を経て登場する。そのため逆に言うと犯人は当てやすくもある。

『脳』の不思議さに派生する作品群(『眩暈』・『ネジ式・・・』・『ロシア軍艦・・・』・『魔神の遊戯』)、レオナ中心にのハリウッドを舞台に活躍するまるで外国小説のような作品群(『アトポス』・『水晶のピラミッド』・『ハリウッド・サーティフィケイト』)の一方で前回は石岡和巳一人で奮闘するとともに民話的猟奇事件を題材にした作品群と言うべきものがある。本作もそれにある。これはある意味デビュー作の『占星術殺人事件』への回帰とも言えるのかも知れない。

さて本作も他の島田作品同様、とてつもなく大きなプロット・デザインでできている。これを島田氏は『奇想』と読んでいるのだろう。全てが初めから他の作家の数千倍の大きさに設計されたとてつもなく大きなプロット・デザインでできている。ストーリーはその超巨大プロットのある一点からスタートし、読了後に初めてプロットの巨大な全体像が見えるという鮮やか仕掛けになっている。

読了後の感想を一言で言えば『猟奇伝説型異邦の騎士』が本作である。ということで島田氏のファンならマストでしょう。
「石岡和己」さんは探偵ではなく、ストーリーテラー! ★★★★★
御手洗潔シリーズでは、「水晶のピラミッド」など「松崎レオナ」を主人公に展開する話が多いです。
こちらは外国が舞台のこともあり、謎解きも難解に感じます。
それに比べ、前作の「龍臥亭事件」及びこの「龍臥亭幻想」では、舞台は日本。
とくに今回は、明治の頃の殺人事件「森孝伝説」をベースに話が進んでいきます。
当時の武家の掟や暮らしぶりなど、理解できる内容なので読みやすいです。

そして、いつもは助手役の「石岡和己」が主役で、御手洗探偵は助言はあたえてくれるけれども登場しません。

御手洗潔シリーズで一番好きなのはやはり「占星術殺人事件」です。
謎解きの殺人事件はなぜバラバラ事件が多いのか?
そして、この「龍臥亭幻想」でも腕や足、頭部の切断がキー・ポイントとなります。

上下巻を通して読んで、一番この本で感動したのはラストです。
謎解きを兼ねていますが、犯人の人間性、そして、作者の「石岡和己」氏に対する愛情を感じます。
推理小説はトリックと犯人を推理するのだけが醍醐味ではありません。
犯人が犯行にいたった背景、犯人及び登場人物の細かい人物描写。
全てにおいてこの話は優れていると感じました。

ただ、8年前の事件や石岡和己氏の過去を知らない読者にとってはどうでしょうか。
このシリーズ全てを読んでいる読者としては文句なしの星5つです。

もっと謎解きに傾注して欲しかった気も・・・ ★★★★☆
「龍臥亭事件」から8年を経て、二度目の舞台となった龍臥亭で、行方不明になった巫女さんの謎を追うところからミステリーは始まりますが、謎を追う過程はあまり描かれず、次々に起こる事件に対処する方に描写が割かれています。この点はもう少し謎解きに傾注して欲しかったと思います。

島田作品の特徴として、本編とそれを裏付ける(または演出する)別の挿話が随所に現れますが、それはあくまで本編を引き立てるために存在すべきと思います。今回それは成功していたと思います。バランスは良かったかな、と感じました。

あと伝奇的な雰囲気が色濃くて、雪に閉ざされた村の様子などの描写にも優れていると思います。しかし、謎の質がやや今一つであった感は否めません。あと龍臥亭の構造や村の地理的な位置の把握を助けるような図面があればもっと良かった(その方がリアリティも増すし・・)。
超豪華キャスト! ★★★★★
島田氏の2大シリーズ、「御手洗もの」と「吉敷もの」のキャラ総出演?!
語り手は「龍臥亭事件」と同じく、石岡氏。
キャストは、石岡氏&里美ちゃん、御手洗氏(龍臥亭事件と同じく電話出演)、通子さん(今回は初めからフルネーム出場!)&ユキちゃん、その他「龍臥亭事件」関係者。さらに!吉敷警部!!
ついに御手洗&吉敷競演!(御手洗は電話だけど)
この設定にファンは興奮せずにはいられないでしょう。
こんな豪華キャストに相応しい見事な2つのトリック!
1つは、盲点を突いたスマートなもの。
もう一つは、島田氏の特徴如何なく発揮の強引にして大胆、それでいて感動的!なもの。

蛇足ながら、吉敷&通子さんファンの私は、「涙流れるままに」以降、幸せに暮らしていた彼らに「ほっ」と安堵したのでした。

幻想の名の下に ★★★★☆
『龍臥亭事件』と『涙流れるままに』を読まずに読むと後悔する作品だと思いました。様々に絡み合った糸がほどけて、やがて一つの線を結んでいく様を感じ取れないからです。 というより、吉敷シリーズと御手洗シリーズをある程度読んだ人でないと楽しめないのではないかと思います。
ミステリとしてはそのトリックと謎解きにあまり新鮮な驚きを感じなかったのですが、全体を漂う雰囲気はやはり島田作品、という感じがしました。
事件が終わったかのように見え、もやもやとした気分で読み進んでいたところにはっとするような結末を見せられて、その読後感に「幻想」というタイトルが意図したものを掴んだような気がしました。