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山頭火のぐうたら日記

価格: ¥1,944
カテゴリ: 単行本
ブランド: 春陽堂書店
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種田山頭火の随筆、日記、書簡の中からつぶやき、ため息、叫びを集めた山頭火語録集。
「人生の矛盾を矛盾として慈しみ育てよ。」 ★★★★★
 行乞の日々を句に託した、漂泊の俳人として、世に知られる種田山頭火の書き遺した日記・雑文などから珠玉のことばを引用したアフォリズム集です。タイトルの「ぐうたら日記」はいかにもお気楽な印象で、たしかに非常に読みやすい本ではあるものの、実際には、山頭火の真率な心情がむきだしになっていて痛切。

「妻があり子があり、友があり、財があり、恋があり酒があって、尚寂しいのは自分というものを持っていないからである。」

 自由律の俳人の凄惨な境涯を知るための入門書。山口県の大地主だった実家の没落、母と弟と父のそれぞれの自殺、みずからのノイローゼと転職とアルコール依存症、家族を捨てて修行僧となって以降の放浪の暮らし……しばし絶句する。すこぶる重い人生です。

 編者は、山頭火の評伝も著わしている作家の村上護さん。旅・俳句・人間・人生・社会の5つの見出しに便宜上分類しています。句集をざっと読んだだけでは見えてこないものが、おびただしい引用句の行間に浮遊しているのを感じた。

「世を捨てたなどとうぬぼれてはいない、世に捨てられたことをはっきり知っている。」
 
 本書を読んで、山頭火に興味をおぼえたら、つづけて全集に手を伸ばすのもよいだろう。山頭火の日記を直接読み込んだほうが、得られるものはいっそう豊かなはずです。