大学院初年度で用いられる経済数学をカバーするボリュームのある1冊。必携とは言わないが、理論をやる上では少なくともこのレベルの内容を習得しておくことが望まれる。
本書の構成は、集合位相や線形代数などの準備的な章から始まり、最適化理論や均衡の存在、動学へと続いている。特に序盤の章はExerciseの量が豊富で、すべてに丁寧な解説が添えられており、独習に向いていると言える。

中・上級の経済数学の教科書・演習書。Simon-Blumeより上のレベル。∀の練習問題に対して完全な解答がついているのが独習者には有難い。練習問題のレベルはmild、問題の解き方も素直で、文系向き。だが説明は十二分に分かりにくい。といっても数学の専門書だけでこの内容を勉強する苦労を考えると、必要十分な内容が一冊の本にまとまっている本書の右に出るものはない。大学の講義でイプシロン-デルタをかじったことがある人なら何とかついていけるだろう。