推理小説として一級作品
★★★★★
ある政府高官の悪名高い実業家息子の殺人事件を巡って6人の容疑者が浮かぶが、それぞれに動機があって、最後まで真犯人が分からない。最後に意外な結果に終わるのは、推理小説として一級といえる。575ページの英語を読むのは簡単ではないが、内容が面白いので、どんどん読める。ただし、ヒンディー語やインド諸語の単語や文が注釈なく、イタリックで出てくるので、インドの言葉を全然知らない人には、100パーセントエンジョイできないかもしれない。インド人読者のみを対象にしたのなら、それでもよいが、世界中の読者を対象にするなら注釈をつけるべきだったと思う。それにしても著者は現役のインドの外交官。余暇を利用してこれだけの長編小説を書けるとはすごい能力の持ち主だ。和訳も近く出版され映画化もされているという。いずれも楽しみだ。